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キュウリの施肥
以下の論文等もご覧ください
       
キュウリかん水同時施肥栽培マニュアル食料生産地域再生のための先端技術展開事業(先端プロ)成果マニュアル.2021.ダウンロードはこちら
メタン発酵消化液を用いる灌水同時施肥装置の改良とキュウリへの施用効果.園芸学研究.11: 29-35. 2012.ダウンロードはこちら
かん水同時施肥栽培におけるキュウリ半促成作型での増加葉数による窒素吸収量の推定.農作業研究.42: 69-74. 2007.ダウンロードはこちら(この論文は佐藤が神奈川県農業総合研究所在籍時に取りまとめたものです.)
半促成キュウリのかん水同時施肥栽培における葉数をもとにした窒素施肥技術.農作業研究.42: 4-10. 2007.ダウンロードはこちら(この論文は佐藤が神奈川県農業総合研究所在籍時に取りまとめたものです.)
葉数をもとにした簡易窒素施肥指標によるキュウリのかん水同時施肥栽培の現地導入効果.農作業研究.40: 73-78. 2005.ダウンロードはこちら(この論文は佐藤が神奈川県農業総合研究所在籍時に取りまとめたものです.)
抑制キュウリのかん水同時施肥栽培における葉数をもとにした窒素施肥指標.農作業研究.40: 67-72. 2005.ダウンロードはこちら(この論文は佐藤が神奈川県農業総合研究所在籍時に取りまとめたものです.)
かん水同時施肥栽培で栽培した抑制キュウリの解体調査による窒素吸収量推定パラメータの検討.農作業研究.40: 11-16. 2005.ダウンロードはこちら(この論文は佐藤が神奈川県農業総合研究所在籍時に取りまとめたものです.)

研究材料としてのキュウリ
 かつてキュウリは日本で生産高トップ野菜でした.しかし,近年は漬物を食べない,栄養がない,が仇となり,いまひとつ元気がありません.また,何しろ毎日収穫をしないと果実が巨大化してどうしようもなくなってしまうため,土日も盆も正月も返上で作業をしなければなりません.牛や豚を飼っているのと同じです.それに加えて頻繁な農薬散布や茎葉の管理作業は欠かせず,大学での研究材料としては最悪に近い代物かもしれません.甘くないですし.野菜を扱う研究室の中でも,キュウリの生産力検定まで手がけているところはあまりないのではないでしょうか.

キュウリの施肥反応
 手許に具体的なデータがある訳ではありませんが,どちらかというとキュウリは窒素施用量が過剰でもあまり収量に影響が出ず,逆に足りないとてきめんに生育が悪くなる印象があります.このため,生産現場では適正量に比較してかなり施肥量が多くなっている事例もあるようです.このため,キュウリの施肥量を適正にすることを目的として,灌水同時施肥栽培の導入を試みました.灌水同時施肥栽培とは,点滴チューブを使い,毎日の灌水時にキュウリが必要なだけの液肥を水と一緒に株元に施用してやる栽培です.根の回りだけに灌水できるため,施肥効率は大幅に改善されるはずです.写真は灌水の状況です.

施肥量を反映する生育パラメータを探る
 どうすれば,キュウリが1日に必要な窒素の量を推定することができるか?研究上は作物体を掘り起こして乾燥させ,窒素含有量を分析すればわかります.しかし,生産者が行うわけにはいきません.そこで,キュウリを定期的に抜き取り解体調査を行い,葉の枚数,側枝や花の数,葉面積,収量など様々なパラメータを成分分析値と照らし合わせてみました.すると,一定期間あたりにキュウリが吸収する窒素量は,その期間に増えた葉の枚数と強い相関関係があることがわかりました.つまり葉の枚数を定期的に調べれば,キュウリが必要な窒素量を推定することができるのです.

葉数による窒素施肥指標
 窒素吸収量と葉の枚数の関係式を元に,2週間に一度,葉の枚数を調べ,増減した葉の枚数から毎日の施肥量を知る早見表を作成しました.灌水同時施肥栽培は,根の回りにだけゆっくりと水,肥料を与えることができるため,肥料の利用効率が高いのが特徴です.したがって,多めに施肥をする必要はなくなりました.

有機質資材の使用
 灌水同時施肥栽培では,通常は化学肥料を液肥にして施用します.私達は,家畜糞尿発酵液やメタン発酵消化液など有機質系資材の施用にチャレンジしました.まず,メタン発酵消化液などは固形物を多く含み粘度も高いことから,施用する前に磨砕処理を行い,水圧を利用して水に混入する機構を設けました.このような装置を利用してキュウリを栽培すると,尿素を窒素源として栽培したキュウリと遜色なく,十分な収量を得ることができました.家畜糞尿発酵液は,前処理を省力しても通常の養液コントローラーで問題なく施肥することができました.メタン発酵消化液をみんなで悪戦苦闘して濾過したのもよい想い出です.

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