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研究目的


イメージ −温湯を使ってクリーン・低コストに病害抑制−

 施設イチゴは我が国で栽培される作物の中でも特に農薬使用量が多い作物であり、周辺環境への負荷軽減や生産コスト低減、消費者ニーズなど多方面から農薬使用量削減が求められています。
 温湯による植物体の処理は物理的防除法の1つであるとともに作物体にも生理的影響を与えることが知られています。そこで、茨城大学で開発した熱ショック処理装置と、秋葉商事株式会社が保有するLPガス燃焼式炭酸ガス発生装置・温湯かん水装置の技術を発展させることによって実用的な自走式温湯処理装置を開発するとともに効果的な処理条件を明らかにし、熱による病害虫防除ならびに熱ショックによる作物体への病害抵抗性付与、果実の鮮度保持技術の確立を目指しています。

研究目標
  1.LPガス燃焼式自走型温湯散布装置の開発
  2.温湯による病害虫の防除条件の解明
  3.イチゴの病害抵抗性誘導効果ならびに保鮮効果の解明
    による
施設イチゴの現行燃料コスト内での環境保全型生産技術および保鮮技術の確立

期待される社会への貢献
  1.コスト増を伴わない化学合成農薬使用量の削減と国民への安心・安全な食糧供給
  2.イチゴの店保ち性向上による良食味品種の広域流通とイメージアップ
  3.炭酸ガス発生装置との兼用による生育促進ならびにコスト低減

研究構成
1.温湯散布装置の開発
 畦間を走行し、任意の温度、水量で連続的な温湯散布が可能な処理装置を試作します。
(1)走行型温湯散布装置の開発
 畦間を自走し、畦上に植栽されたイチゴ苗に対して任意の処理速度、温度、水量で連続的に処理できる実用的な温湯散布装置と、燃焼ガスをハウス内に引き込み炭酸ガス施肥を行う機構を開発します。
 
2.最適温湯処理条件の解明
(1)病害虫防除における最適処理条件の検討
 主な対象病害虫を育苗期では炭疽病、うどんこ病、ハダニ類、本ぽではうどんこ病、灰色かび病、ハダニ類とし、イチゴの生育、収量に悪影響を与えずにこれらを死滅させる最適な処理温度、処理水量、処理時間について検討します。
(2)病害抵抗性誘導における最適処理条件の検討
 主な対象病害を育苗期では炭疽病、うどんこ病、本ぽではうどんこ病、灰色かび病とし、イチゴの生育、収量に悪影響を与えず温湯散布によって全身獲得抵抗性を誘導する技術を開発します。炭疽病は茎葉、うどんこ病については茎葉および果実、灰色かび病については果実における処理を検討します。
(3)生育・品質向上における最適処理条件の検討
 イチゴ茎葉ならびに果実に対する温湯処理がイチゴの花芽分化や休眠、高温障害に及ぼす影響を育苗期、収穫期ごとに明らかにするとともに果実表面の硬化ならびに鮮度保持に及ぼす影響を明らかにします。

3.組み立て実証試験
(1)学内・所内における実証栽培試験
 イチゴ栽培ほ場における温湯散布装置の性能評価ならびに効果確認試験を行い、実用技術として組み立てます。
(2)現地ほ場における実証栽培試験
 現地生産農家で実証栽培を行います。