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佐藤・七夕研究室 研究紹介
ダイズの根粒
 ダイズなどのマメ科植物は、根に根粒菌が感染すると根粒を形成します。根粒菌は根粒中で大気中の窒素分子を固定して植物に与え、植物はこれを窒素栄養として利用します。一方、植物は根粒菌に光合成産物を供給します。植物側は、生育のバランスを崩さないよう、根粒の着生数を制御するシステムを有します。これを根粒形成オートレギュレーション機構(AON)と呼びます。このAONは地上部と地下部のコミュニケーションを介した全身的な機構であり、近年その詳細が解明されつつありますが、全貌は明らかではありません。
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有機廃棄物を肥料に
 作物残渣や食品ごみなどを肥料としてリサイクルし、地域内で資源循環をする方法を検討しています。例えば、有機廃棄物を高温高圧下で水熱分解処理することにより、肥料成分を液肥として抽出することができます。この水熱分解処理によってできた液肥は、そのまま利用すると生育を阻害してしまいますが、早めに施用しておくことで、化学肥料の代替として利用できることを明らかにしました。.
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熱ショックの基礎
 「熱ショック」という言葉に統一された定義は見あたりませんが,ここでは作物にとってストレスと感じられる程度の高温に対する被曝を指すことにします.私たちは当初,作物を高温環境に慣れさせる(高温馴化)ことを目的とし,キュウリを植えたハウスを閉め切って高温にする処理を行っていました.ところが,どういう訳かキュウリに病害が発生しなくなりました.いろいろな状況証拠を検討した結果,熱ショックによってキュウリの病害抵抗性が質的に変化したのではないかと推定しました.ところがハウスを閉め切るという処理は夏しかできず,また,条件を変えたり何回も繰り返すことは困難です.そこで当研究室では,まず,実験方法について検討し,作物の幼苗を温湯に浸漬することで安定的に熱ショック処理を施すことができることを明らかにしました.
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Hot Strawberry Project
 前項において,適切な条件で植物に熱ショック処理を行うことにより,全身獲得抵抗性を誘導できることを明らかにし,温湯散布装置を開発しました.私たちは,この技術をイチゴで応用することにしました.イチゴはキュウリなどより作物体が小さいため,温湯散布などの作業が簡単です.まず,実験室で接種試験を行ったところ,熱ショック処理によってイチゴに灰色かび病,うどんこ病,炭疽病の抵抗性を誘導することに成功しました.写真は,炭疽病接種試験の結果です.右側が温湯浸漬,左側は無処理です.
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キュウリの施肥
 かつてキュウリは日本で生産高トップ野菜でした.しかし,近年は漬物を食べない,栄養がない,が仇となり,いまひとつ元気がありません.また,何しろ毎日収穫をしないと果実が巨大化してどうしようもなくなってしまうため,土日も盆も正月も返上で作業をしなければなりません.牛や豚を飼っているのと同じです.それに加えて頻繁な農薬散布や茎葉の管理作業は欠かせず,大学での研究材料としては最悪に近い代物かもしれません.甘くないですし.野菜を扱う研究室の中でも,キュウリの生産力検定まで手がけているところはあまりないのではないでしょうか.
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アスパラガス
 アスパラガスは雌雄異株で,優性の雄性遺伝子の存在が知られています.雌雄では茎の太さや収量性が異なり,一般的な露地栽培,施設栽培では雄株の方が揃いが良くて自然実生の雑草化の心配がなく,伏せ込み栽培では雌株の方が太くて品質に優るようです.理論的には雌雄は1:1に分離するはずなのですが,実際には10株植えると8株が雄で2株が雌,あるいはその逆,などということもあり,生産力検定試験などの支障になってしまいます.また,生産現場でも,100%完璧ではなくても,ある程度雄と雌を区別できた方がその後の扱いが楽になります.
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有機養液栽培
 本来は,有機栽培の定義として土耕であることが明記されていますので,「有機養液栽培」はかなり微妙な表記になります.しかし,他にわかりやすい言葉も思いつかないので,ここでは敢えてこのように書きました.この研究は野菜茶業研究所のプロジェクトのメンバーとして参加しているものです.通常,有機栽培,特に水耕栽培で,養液に有機質を投入すると水が腐ってしまいます.しかし,好気的条件下で毎日,あるいは数日おきに少しずつ有機質を投入していくと,養液中に微生物生態系ができあがり,有機物がアンモニア,亜硝酸,硝酸の順に分解され,植物に吸収されていきます.足りない栄養素を何らかの形で追加投入することにより,作物残渣や食品系廃棄物を肥料としてリサイクルし,作物を育てることができそうです.
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